投資を始めるには、米国ETFを買うのが良いって聞いたけど、米国ETFについて調べてみるとVTIやらVYMやら謎のローマ字がたくさん出てきて結局どれが良いのか分かりにくかったりしますよね。
さらにバンガード社の米国ETFが良いとも聞くけど、どれがバンガード社の商品か訳分からなくなったりしててしまって探すだけで一苦労です。
私自身もそんな風に思っていたので、今回は米国ETF投資におすすめのバンガード社の米国ETFについてまとめました。
バンガード社の米国ETFを見分ける方法や、それぞれのバンガード米国ETFの投資先やかかるコスト、配当利回りについてまとまっています。

自分に合ったバンガード社の米国ETFが見つかるよ〜。
最後にそれぞれの米国ETFの比較表も作ったので、見てみてください!!
米国ETFとは
米国ETFとは、アメリカの証券取引所に上場している投資信託のことを言います。
通常の投資信託とは異なり、上場しているので、ニューヨーク市場の開いている時間にのみ取引をすることができ、まるで株式のように取り扱うことができます。
また、S&P500などの株式指数に連動するものや、米国債券や医療分野、エネルギーなどに連動するETFもあります。
上場投資信託とも呼ばれるETFの中でも、特に米国ETFはアメリカの各指数に連動しているほか、世界的な証券会社のプロトレーダーが運用を行なっており、手数料も安いため投資初心者が初めに手をつけるにはもってこいです。
バンガード社とは
バンガードは、1975年にアメリカで創業された世界最大級の運用会社の一つです。
2020年12月末時点で、運用資産規模の世界ランキングでバンガード・グループは、7兆1488億7百万ドルで第2位でした。1位のブラックロックとの差は1兆円である一方、3位との差は3.5兆円もあったので、この2つの運用会社が世界の二大巨塔と言えるでしょう。
バンガードは顧客第一主義を軸とした商品展開を行なっており、手数料が非常に安いことで有名です。
バンガードが提供するETFの平均経費率(平均コスト)は0.07%となっており、業界平均の0.27%の3分の1以下となっています。(2018年12月31日時点)
バンガード社の米国ETFの見分け方
米国ETFにはもちろん、バンガードが提供するものだけではなく、様々な運用会社の提供する銘柄があります。
米国ETFの銘柄はたくさんあるので、バンガードの銘柄を探したいときはなかなか見つけれなくて困っちゃうかもしれません。
でも大丈夫です!!バンガードの銘柄を見分けるとっても簡単な方法があるんです!
米国ETFはアルファベット3文字で表されることが多いのですが、バンガードの銘柄は基本的に、その頭文字が「V」になっています。
バンガードは英語では「Vanguard」と書くので頭文字を取って「V」がつくというわけですね。
例えば、VTIやVOO、VYM、VTといった感じです。
バンガード各銘柄の特徴(配当利回り)
では、バンガードの提供する米国ETFから主要なものを取り上げて、それぞれの構成銘柄や特徴、配当利回りを見ていきます。
今回は、SBI証券で人気のバンガードETFトップ10の銘柄をランキング順に取り上げています。(2020年2月末時点)
VT
VTは、バンガード・トータル・ワールド・ストックETFと呼ばれる米国ETFです。
VTは、FTSE グローバル・オールキャップ・インデックスという指数に連動するように運用されています。
FTSE(R)グローバル・オールキャップ・インデックスは、小型から大型まで全世界のあらゆる銘柄から構成される指数で、全世界の投資可能な市場時価総額の98%以上をカバーしています。
VTは現在、0.08%のコスト比率で9287種の銘柄から構成されており、その6割を北米(アメリカ)の銘柄が占めています。(コスト;2021/2/26時点、構成銘柄数・地域別構成比率;2021/10/31時点)
表2を見ると、この10年で3倍の価格に上昇していることが分かります。また、配当金の分配は4半期に1度行われ、2021年12月14日の評価価額をもとに計算すると配当利回りはおよそ1.64%となっています。直近の2021年9月20日付の分配金は、1株当たり0.4120ドルでした。


世界全体の経済成長に投資していることになるので、世界経済が発展し続ける限り成長すると言えます。また、分散投資にもなるので、VTを買うだけでリスク分散もできます。
とりあえず投資を始めたいという初心者にぴったりの米国ETFです。
VOO
VOOは、バンガード S&P500 ETFと呼ばれる米国ETFで、S&P500に連動するように運用されています。
S&P500は、アメリカで時価総額の大きい約500社で構成される指数で、VOOを買うだけでアメリカ経済の中心に投資していることになります。
VOOは現在、0.03%のコスト比率で、511の銘柄から構成されており、IT業界の株が全体の3割弱を占めています。(コスト;2021/4/29時点、構成銘柄数・セクター別構成比率;2021/10/31時点)
表4を見ると、この10年で価格が4.5倍ほど上昇していることが分かります。また、配当金の分配は4半期に1度行われ、2021年12月14日の評価価額をもとに計算すると配当利回りはおよそ1.24%となっています。直近の2021年9月20日付の分配金は、1株当たり0.4120ドルでした。


アメリカ経済は長期的に見れば右肩上がりであることに加え、VOOの構成比率を見てわかるように全世界の6割の成長を引っ張っていると言えます。
VOOも初心者にとって手の出しやすい米国ETFの一つです。ただ、リスク分散という意味では不十分なので、アメリカ経済が傾いたときには利益が小さくなったり損失に傾く場合もあります。しかし、長期的な目線ではこれまで、必ず右肩上がりになっているので、我慢強く長期投資を続けることができるのであれば比較的安心して保有できるでしょう。また、アメリカ以外に個別または投資信託で投資することで分散するのもアリです。
VTI
VTIは、バンガード・トータル・ストック・マーケットETFと呼ばれる米国ETFで、CRSP USトータル・マーケット・インデックスに連動するように運用されています。
CRSP USトータル・マーケット・インデックスは、シカゴ大学証券価格調査センターで開発された指数で、アメリカの小型から大型まで様々な銘柄を網羅しています。アメリカの投資可能銘柄のほぼ100%をカバーしており、およそ4,000銘柄から成ります。
VTIは現在、0.03%のコスト比率で、4,124の銘柄から構成されており、IT業界の株が全体の3割弱を占めています。(コスト;2021/4/29時点、構成銘柄数・セクター別構成比率;2021/10/31時点)
表6を見ると、この10年で価格が4.5倍ほど上昇していることが分かります。また、配当金の分配は4半期に1度行われ、2021年12月14日の評価価額をもとに計算すると配当利回りはおよそ1.2%となっています。直近の2021年9月24日付の分配金は、1株当たり0.72420ドルでした。


VOOと同様に、アメリカ経済への投資になりますが、大小入り混じった玉石混交のETFです。アメリカ経済に対して、セクター別に比較的分散投資ができている銘柄になります。
VTIもVOOのように、アメリカ以外の国にも合わせて投資することでリスクを軽減することができます。
VYM
VYMは、バンガード・米国高配当株式ETFと呼ばれ、FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックスに連動するように運用されています。
FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックスは、アメリカの株式市場における高配当利回りの銘柄(REIT除く)で構成される指数です。
VYMは現在、0.06%のコスト比率で、410の銘柄から構成されており、金融業界の株が最も多く全体の23%を占めています。(コスト;2021/2/26時点、構成銘柄数・セクター別構成比率;2021/10/31時点)
表8を見ると、この10年で価格が3倍強だけ上昇していることが分かります。また、配当金の分配は4半期に1度行われ、2021年12月14日の評価価額をもとに計算すると配当利回りはおよそ2.7%となっています。直近の2021年9月20日付の分配金は、1株当たり0.74880ドルでした。


VYMは高配当を狙う人に適した銘柄です。高配当株を集めているので、キャピタルゲインはわずかに小さくなります。
こちらもアメリカ以外への分散投資によってリスクを軽減するとより安全です。
VWO
VWOは、バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツ・ETFと呼ばれ、FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)インデックスに連動するように運用されています。
FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)インデックスは、FTSE社が算出している新興国株式市場全体の動向を反映した指数です。
VWOは現在、0.10%のコスト比率で、5,250の銘柄から構成されており、台湾や中国の銘柄が上位を占めています。(コスト;2021/2/26時点、構成銘柄数・セクター別構成比率;2021/10/31時点)
表10を見ると、この10年で価格が1.6倍ほど上昇していることが分かります。また、配当金の分配は4半期に1度行われ、2021年12月14日の評価価額をもとに計算すると配当利回りはおよそ2.27%となっています。直近の2021年9月20日付の分配金は、1株当たり0.47270ドルでした。


VWOも高配当を狙う方にとっての狙い目ですが、VYMと比べてもコストが高く、配当金・キャピタルゲインが安定しません。価格の上下が大きく、初心者にとっては少し難しい銘柄です。
BND
BNDは、バンガード・米国トータル債券市場ETFと呼ばれ、ブルームバーグ・バークレイズ米国総合浮動調整インデックスに連動するように運用されています。
ブルームバーグ・バークレイズ米国総合浮動調整インデックスは、ブルームバーグ社により開発された指数で、投資に適したドル建て固定金利課税債券市場を評価しています。
BNDは現在、0.035%のコスト比率で、10,157の銘柄から構成されており、信用格付けによる内訳ではアメリカ政府が65%を占めています。(コスト;2021/4/29時点、構成銘柄数・セクター別構成比率;2021/10/31時点)
表12を見ると、この10年で価格が1.35倍ほど上昇していることが分かります。また、配当金の分配は毎月行われ、2021年12月14日の評価価額をもとに計算すると配当利回りはおよそ1.7%となっています。直近の2021年12月1日付の分配金は、1株当たり0.13492ドルでした。


BNGはキャピタルゲイン、配当利回りともに特別高くはなく、比較的安定した銘柄です。米国債券市場などについて知っている必要があるので、初心者が手をつけるには少し難しいです。
VGT
VGTは、バンガード・米国情報技術セクターETFと呼ばれ、MSCI USインベスタブル・マーケット・情報技術25/50インデックスに連動するように運用されています。
VGTは現在、0.10%のコスト比率で、338の銘柄から構成されており、システム・ソフトウェアのセクターが最も大きい23%を占めています。(コスト;2020/12/22時点、構成銘柄数・セクター別構成比率;2021/10/31時点)
表8を見ると、この10年で価格が8倍も上昇していることが分かります。また、配当金の分配は4半期に1度行われ、2021年12月14日の評価価額をもとに計算すると配当利回りはおよそ0.62%となっています。直近の2021年9月29日付の分配金は、1株当たり0.88690ドルでした。


VGTは、近年大きく成長しているIT分野への投資なので、キャピタルゲインが非常に大きいです。その一方で、配当金は低くなっているので、高配当投資にはあまり向きません。
今後のIT分野の成長が見込まれると判断した上で、キャピタルゲインの見込みを主な目的として投資することになります。
VEA
VEAは、バンガード・FTSE先進国市場(除く米国)ETFと呼ばれ、FTSE先進国オールキャップ(除く米国)インデックスに連動するように運用されています。
VEAは現在、0.05%のコスト比率で、4,090の銘柄から構成されており、ヨーロッパの株が全体の半分を占めています。(コスト;2021/4/29時点、構成銘柄数・セクター別構成比率;2021/10/31時点)
表8を見ると、この10年で価格が2倍強ほど上昇していることが分かります。また、配当金の分配は4半期に1度行われ、2021年12月14日の評価価額をもとに計算すると配当利回りはおよそ2.5%となっています。直近の2021年9月20日付の分配金は、1株当たり0.20000ドルでした。


VEAはアメリカ以外の先進国への投資です。米国経済への投資と比べて、キャピタルゲインはあまり得られませんが、同程度の配当利回りが得られます。
VOOやVTI、VYMなどの米国ETFと埋め合う形で、先進国全体への投資として使えます。
VGK
VGKは、バンガード FTSE ヨーロッパETFと呼ばれ、FTSE欧州先進国オールキャップ・インデックスに連動するように運用されています。
VGKは現在、0.08%のコスト比率で、1,348のヨーロッパの銘柄からのみ構成されています。(コスト;2021/2/26時点、構成銘柄数;021/10/31時点)
表18を見ると、この10年で価格が2倍強ほど上昇していることが分かります。また、配当金の分配は4半期に1度行われ、2021年12月15日の評価価額をもとに計算すると配当利回りはおよそ2.7%となっています。直近の2021年9月20日付の分配金は、1株当たり0.39200ドルでした。


VGKはヨーロッパへの投資で、高配当銘柄になります。アメリカとヨーロッパだけに絞った先進国への投資を考えている人は、VOOやVTI、VYMなどと組み合わせてポートフォリオを作ると良いでしょう。
VIG
VIGは、バンガード 米国増配株式 ETFと呼ばれ、S&P U.S.ディビデンド・グローワーズ指数のパフォーマンス(手数料および経費控除前)に連動するように運用されています。
VIGは現在、0.06%のコスト比率で、268の銘柄から構成されており、産業界の株が最も多く全体の2割強を占めています。(コスト;2021/5/28時点、構成銘柄数・セクター別構成比率;2021/10/31時点)
表20を見ると、この10年で価格が4倍弱ほど上昇していることが分かります。また、配当金の分配は4半期に1度行われ、2021年12月14日の評価価額をもとに計算すると配当利回りはおよそ1.5%となっています。直近の2021年9月20日付の分配金は、1株当たり0.69950ドルでした。


VIGはアメリカの増配株への投資になりますが、配当利回りは今回紹介した中では中程度です。
VOOやVTIの配当利回りでは満足いかないけれど、VYMほどのリスク許容度がない場合などに候補に上がります。また、増配株なので、将来にわたってキャピタルゲイン・配当金の両方での成長も見込めますが、その分リスクもあるので注意が必要です。
バンガード社の米国ETFの比較
今回取り上げたバンガード社の提供する米国ETF10個を一覧表で比較してみると、こんな感じになります。
ETF銘柄 | VT | VOO | VTI | VYM | VWO | BND | VGT | VEA | VGK | VIG |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
投資先 | 全世界 | S&P500 (米国経済の中心) | 米国全体 | 米国の高配当株式(REIT除く) | 新興国 | ドル建て固定金利課税債券市場 | 米国のIT業界 | 先進国(米国除く) | 欧州先進国 | 米国の増配株式 |
コスト | 0.08% | 0.03% | 0.03% | 0.06% | 0.10% | 0.035% | 0.10% | 0.05% | 0.08% | 0.06% |
10年での成長率 | 3倍 | 4.5倍 | 4.5倍 | 3倍強 | 1.6倍 | 1.35倍 | 8倍 | 2倍強 | 2倍強 | 4倍弱 |
配当利回り | 1.64% | 1.24% | 1.2% | 2.7% | 2.27% | 1.7% | 0.62% | 2.5% | 2.7% | 1.5% |
いずれも配当金が特別高いというわけではありませんが、リスクやキャピタルゲインも考慮に入れるとバランスの良い商品が揃っていると言えるでしょう。
初心者におすすめの銘柄
今回紹介したETFはいずれも、コストが0.10%と低く、長期的に見るとキャピタルゲインもインカムゲイン(配当金)も見込めるので、良い商品が揃っています。
ただ、商品によってリスクに差があるほか、投資対象が保有中の他の銘柄と被ってしまう事もあるので、自分に合ったバンガード米国ETFを選ぶ必要があります。
投資初心者の方はまず、VTから手を出すのが一番無難です。VTは全世界への投資なので、十分に分散されたリスクを抑えた投資をすることができます。コストは0.08%とバンガード米国ETFの中では高い方ですが、配当金も1.64%と悪くありません。
高配当を狙いたい人は、米国高配当株式に投資するVYMや、欧州に投資するVGK、VEA、新興国に投資するVWOがおすすめです。
米国およびヨーロッパが投資先のVYM、VGK、VEAは、配当金だけでなく、キャピタルゲインも比較的安定して伸びが見込めます。しかし、新興国に投資するVWOはチャートが右肩上がりではありますが、あまりきれいな形ではないので、キャピタルゲインも安定して得たいという人には向きません。
また、キャピタルゲインを主な目的として投資を行う人は、VGTがおすすめです。10年で8倍も伸びているので、非常に効率よくお金を増やせます。ただ、今後のIT業界がどうなっていくか充分に考えてから判断する必要があります。
まとめ
バンガード社の展開する米国ETFについて、人気の10銘柄を取り上げて、それぞれの特徴についてまとめました。
一口に米国ETFと言っても、バンガード社の商品はコストが安く信頼性があることが分かりました。
また、バンガード社の米国ETFでも高配当やキャピタルゲインなど、各々の投資目的によって適切な銘柄を選ぶことが大切です。
リアルタイムの情報を確認したい方は、バンガードの公式Webサイトをご覧ください!
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